元日本代表前衛の@zenei_tubasaです。
サービスエースを取れるような速さがあり、なおかつ高確率で入る、理想のファーストサーブを打つにはどうするべきか?
結論から書きますと、以下の10のポイントを意識して練習することで、理想的なサーブのフォームを習得できるようになります。
※この記事は右利きの場合を想定して書いていますので、左利きの方は左右を反転して読んでください。
高確率で入る速いファーストサーブを打つためには
理想のサーブを習得するための10のポイント
- フラットサーブを打つ
- イースタングリップで握る
- リズムを作る「ルーティン」を決める
- 身長の2倍の高さのトスを上げる
- 身体全体で力強い「タメ」をつくる
- 筋肉の「伸張反射」を利用する
- 「く」の字型のインパクトを意識する
- 左手でバランスをコントロールする
- フォロースルーでひじを高く保つ
- 左足で地面を蹴って左足で着地する
押さえるべきポイントは多いですが、わかりやすく1つずつ解説していきます。
1. フラットサーブを打つ
まずはサーブの種類について少しだけお話ししますが、現在ソフトテニスでは以下が基本的なサーブの種類になります。
基本的なサーブの種類
- フラットサーブ
- スライスサーブ
- リバースサーブ
- トップスピンサーブ
- カットサーブ
カットサーブは少し特殊なので別としますが、他の4つのサーブはどれもメリット・デメリットがあります。
それらを全て総合して考えたときに、最も効果的なサーブはやはり「フラットサーブ」です。
理由は単純ですが、最もスピードが速いからです。
回転をかければかけるほど、ボールのスピードは遅くなってしまいます。
つまり最初はフラットサーブを自分の基本のサーブとして習得した後、他のサーブを奇襲用のサーブとして身に付けるのがベストということです。
そのため今回はフラットサーブを前提に話を進めていきたいと思います。
2. イースタングリップで握る
現在ソフトテニスでは自分の握りやすいグリップがベストという考え方もありますが、高いレベルのサーブを目指すのであれば必ずイースタングリップをおすすめします。
イースタングリップとは、通常ストロークを打つ握りの「ウエスタングリップ」からラケットを時計回りに90度回して持つ、包丁持ちのような握り方のことを言います。
※この握り方は正しくは「コンチネンタルグリップ」というのですが、ソフトテニス界ではコンチネンタルグリップのことをイースタングリップと呼ぶことが多いので、今回はイースタングリップとして話を進めていきます。
イースタングリップがサーブ時のグリップとして最適な理由は以下の4つ。
イースタングリップがサーブに最適な理由
- 最も高い打点で打てる
- 自然なドライブ回転がかかる
- プロネーション(腕のひねり)を活かせる
- 身体全体の力を伝えられる
つまりは少ない力で速いサーブを確率よく打つことができるのがイースタングリップということです。
慣れるまではスライス回転がかかってしまうと思いますが、一度コツさえつかんでしまえば軽い力でスピードのあるフラットサーブを打てるようになります。
3. リズムを作る「ルーティン」を決める
サーブはソフトテニスの中で唯一、他人のプレーが全く影響しないショットですが、その代わりに自分で自分のリズムやスイングを繊細にコントロールする必要があります。
野球選手がバッターボックスに入るときや、サッカー選手がフリーキックの前に行う動作を一度は目にしたことがあると思いますが、あのような自分自身のリズムを整えるために行う“決められた一連の行動”が「ルーティン」です。
ソフトテニスのサーブもリズムが非常に重要なプレーなので、簡単な動作でいいのでルーティンを決めて、練習時から必ず行うようにしましょう。
サーブを打つ前のルーティンの例
- ボールの中心を3秒間見つめる
- ボールを地面について空を見上げる
- ラケットのガットのズレを直す
このような”決められた一連の行動”を取ることで、呼吸やリズムや整い、サーブの確率が格段に良くなります。
ルーティンが決まっていない方は今すぐにでも決めて、明日の練習から取り入れることをおすすめします。
4. 身長の2倍の高さのトスを上げる
サーブの速さと確率に大きく影響するトスですが、高確率で入る速いファーストサーブを打つためには”狙った位置に身長の2倍の高さのトスを上げられるかどうか“が重要となります。
トスがそれより低いと威力のあるサーブを打つための”タメ”を作る時間が足りないですし、逆に高いとタイミングを合わせるのが難しく、また風の影響も受けやすくなるからです。
狙った位置に狙った高さのトスを上げるために意識するポイントは以下の4つ。
サーブのトスで意識するポイント
- ボールを指先にそっと乗せるように持つ
- 自分の目の高さでボールを離す
- 両肩を結んだ直線状に腕を伸ばす
- 前重心に移動中のタイミングで上げる
①,②は簡単です。
ボールをぎゅっと握らず指先にそっと乗せて、腕全体でボールを押し上げるイメージで、そのまま目の高さでボールを離すと、すっと真上にトスが上がります。
③の”両肩を結んだ直線状に腕を伸ばす”というのは、下の画像のような状態です。
このように身体の真横に腕を伸ばしてトスを上げると、後ほど説明する”イースタングリップでの「く」の字型のインパクト”がスムーズに行えるようになります。
④の”前重心に移動中のタイミングで上げる”についてですが、トスを上げるときには下の3枚の画像のように重心の移動が必要です。
このように”前→後ろ→前“と重心を移動させることで、サーブ全体にリズムと安定感が生まれます。
トスは意識するべきことが多いので、無意識でも常に狙った位置に狙った高さのトスを上げられるよう徹底的に練習しましょう。
5. 身体全体で力強い「タメ」をつくる
少ない力で効率よく速いサーブを打つためには、身体全体で充分な「タメ」をつくる必要があります。
トスを上げてラケットを構えた直後に“ピタッ”と止まる瞬間がタメの姿勢で、速いサーブを打つために意識するポイントは以下の2つ。
タメの姿勢で意識するポイント
- 前足のひざを充分に曲げる
- 身体を閉じる方向にひねる
下の画像のような姿勢が理想です。この2つのタメを同時に解放することで、少ない力で効率よく速いサーブを打つことができます。
コツは”前足で地面を押す“イメージでひざを曲げることと、トスを上げた”左腕ごと上半身全体で身体をひねる“ことです。
特に最初は地面を押すことを重点的に意識すると、力が溜められている感覚がわかりやすいと思います。
筋力はあるしスイングスピードも速いのにサーブのスピードが遅いという方は、正しいタメの姿勢がとれているか確認してみましょう。思っている以上にサーブの速さに直結します。
6. 筋肉の「伸張反射」を利用する
聞きなれない言葉ですが、伸張反射とは「筋肉が伸ばされた反動で縮む力」のことです。
例えば画像のように腕を前に伸ばした状態から、胸を張るようにひじを後ろに素早く引くと、引ききったところから少し戻ってきます。
これが筋肉の伸張反射です。そしてこの伸ばされた筋肉が戻ろうとする反動を利用することで、ファーストサーブのスイングスピードを飛躍的に速くすることができます。
まずは先ほどのタメの姿勢でラケットヘッドが空へ向くようにラケットを立てて構えます。
ここでトスを上げたボールが落下してきますが、重要なのはこのとき”ラケットを振り出すのをギリギリまで我慢する“ことです。
そしてラケットを振り始めないとインパクトに間に合わないというタイミングで、胸を張りながら”ひじ”を一気に高く上げます。
すると上の画像のように、ラケットヘッドが背中の方へ落ちるのと同時に、胸から腕にかけての筋肉が伸ばされているのがわかると思います。
これらの伸ばされた筋肉が戻ろうとする反動で”スイング方向へのエネルギーが生まれる“ということです。
伸張反射で生まれたスイングの初動を活かしてラケットを振ることで、軽く打っているようなフォームで速いサーブを打つことができるようになります。
慣れるまでは難しいとは思いますが、速いサーブを効率よく打つためには必ず習得するべきテクニックです。
7. 「く」の字型のインパクトを意識する
イースタングリップで威力のあるフラットサーブを打つためには、下の画像のように腕とラケットが「く」の字型になる形でインパクトする必要があります。
高い打点からサーブを打つために、腕とラケットを一直線にしてしまうと、肩甲骨の構造上スムーズなスイングができず、またスライス回転がかかってしまう原因にもなります。
さらに「く」の字型でインパクトすると”イースタングリップがサーブに最適な理由”のところで書いた「プロネーション(腕のひねり)」が使えるため、インパクトの瞬間のスイングスピードが最大まで加速します。
プロネーションについて書くと少し長くなりますが、とりあえずは「スイングしながら”うちわ”を仰ぐように腕を内側にひねる動き」と覚えてください。
おそらくイースタングリップで「く」の字型のインパクトができるようになれば、プロネーションは自然と身に付いてくると思います。
ちなみに身体の軸が地面に対して斜めになっているのは、「く」の字型の形で最高打点でインパクトするためです。これも重要なポイントなので必ず意識してください。
8. 左手でバランスをコントロールする
高確率で入る速いファーストサーブを打つためには、トスを上げた後の「左手」の役割が重要で、意識するポイントは以下の3つ。
トスアップ後の左手の動きと役割
- タメの姿勢で高く保って壁をつくる
- スイング時に素早く下ろして初動の補助をする
- 最後は身体の前に置いて余計な回転を止める
①はトスを上げた左手をまっすぐ上に伸ばして力を逃がさない壁をつくるということです。
このとき左手が下がってしまうとタメの姿勢のバランスが崩れてしまい、サーブの威力だけでなく確率も悪くなってしまいます。
②は高く上げた左手を一気に下ろすことでスイングの初動をスムーズにするということです。
先ほど伸張反射のところで書いた「胸を張りながら”ひじ”を一気に高く上げる動作」と同時に左手を下ろすと、スイングの初動が非常にスムーズになります。
③はサーブを打ち終えた後、下の画像のように左手を身体の前に置くことで身体の余計な回転を止めるということです。
身体の余計な回転を止めることで、タメの姿勢やプロネーションで生まれる力を、ロスすることなくボールに伝えることができます。
スムーズな動作でファーストサーブを打つためには、左手の正しいサポートが必要不可欠ということです。
9. フォロースルーでひじを高く保つ
スマッシュはネット付近から相手コート全体に打つことができますが、サーブはベースラインから相手のサービスコートに正確に入れる必要があります。
そのためファーストサーブのインパクト後の”フォロースルー”で注意すべきポイントは1つ、スマッシュのように振り下ろさずに「ひじを高く保つ」ということです。
インパクト後にラケットを斜め上に抜くようなスイングを意識すると、自然とこのような形のフォロースルーになるはずです。
正しいフォロースルーができるとボールに自然なドライブ回転がかかるので、多少ネットの上の方を通過してもサービスコートに収まるようになり、その結果サーブが高確率で入るようになります。
10. 左足で地面を蹴って左足で着地する
まずタメの姿勢で地面を蹴る足について、右足・左足・両足とさまざまな意見がありますが、現在は「左足中心で蹴る」のが最も良いとされています。
そのためトスアップ後は重心を左足に乗せて、そのまま地面を押すように蹴るということです。
このとき右足で地面を蹴ることができるという方は、体重が後ろに残っているということなので、タメの姿勢で左足に重心を乗せきることを意識してください。
次にサーブを打った後の着地足について、こちらはスポーツ科学の観点から完全に「左足着地」が主流になっています。
左足を前に出すことによって身体の回転がブロックされるため、着地が安定して次のプレーに備えやすく、前衛の場合サービスダッシュのスタートも切りやすいからです。
身体を回転させた方が速いサーブが打てそうと感じるかもしれませんが、実際は身体の回転をピタッと止めた方が腕がしなり、スイングスピードは速くなります。
慣れるまではラケットやボールを使わずに、タメの姿勢から左足で地面を蹴って左足で着地する練習を繰り返しましょう。
まとめ
今回は高確率で入る速いファーストサーブのフォームとコツをまとめてみました。
動作に慣れるまでは難しいポイントもいくつかありますが、ソフトテニスにおいてサーブは妥協できるプレーではないので、ひとつひとつでも良いので習得できるよう練習してください。
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